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「産学連携」に対する社会的要請の高まりと、それに伴いより実践的な成果が求められる「研究」・・・一方で、経営の生命線と言っても過言ではない学生の確保に直結する「教育」・・・多くの大学がその狭間で悩み、苦しむなか、大阪工業大学はあくまで「教育」を軸にし、それ自体を産学連携の果実に結びつけようとしている。
最早「産学連携」は単に大学の研究を産業界に応用・展開するというものでは無く、大学が産業界と一緒になって「次の」地域活性化に繋がる「ひとづくり・ものづくり・まちづくり」を進めていく・・・との観点に立てば、同大学のこの戦略が、今や極めて先進的なものであるという結論に行き着く。
大阪工業大学さんに、インタビューを行いました!
【インタビュー】井上学長・川田工学部長・石井知的財産部長・北條コーディネーター・野里コーディネーター(敬称略)

取材チーム:大学の沿革を見ますと初代の本庄校主が「技術専門職業人」と謳われ、初代の片岡理事長も「現場に即戦力として活躍できる人材」とおっしゃっており、今の理事長・学長のお言葉の中にも「専門的職業人」と・・・ここまで建学から一貫したメッセージを発信されている大学は少ないのではないかと思います。
学長:初代理事長の片岡安は東京帝国大学の建築の出身で、中之島の中央公会堂を設計しています(大阪工業大学の正門には公会堂のデザインが使われている)。当時は大阪が商都から近代都市「大大阪」に変貌を遂げる過渡期にありまして、御堂筋の拡張などでより多くの技術者を大阪で育てていく必要があるなか、当時大阪市の幹部であった片岡安を中心に大阪市出身者が理事の大多数を占めるという形で本学が設立されました。以来、「世のため、人のために役立つ実践的な技術者育成」という建学の精神を堅持しながらここまでどちらかというと教育に特化した手堅い運営を続けてきています。見方を変えると、建学当時から「産学連携」の精神に基づき人材の輩出に特化してきたと言えると思います。
取材チーム:「シーズとニーズを融合させていく」ことが産学連携の基本と考えられがちですが、そのまた基盤を支える、実社会の要請に応えられる職業人の育成に特化するというお考えですね。
学長:日本の産学連携は、研究費が足りないので企業からの助成を受け、その対価として優秀な学生を提供しますといったことが多いのでは無いでしょうか。しかし、もっと広いスケールで考えれば、いまの社会に求められている様々な課題について、黒板で教えるだけじゃなくて、様々な実践型カリキュラムを駆使して「教育」そのものの中で消化していくことが必要だと思います。私学のメリットはそれに対して「全学的に」取り組めるということですね。社会との接点をベースとして全学的に取り組むことで、結果的に社会に還元していくと。それが建学の精神に則った「産」との連携のあり方だと思っています。
取材チーム:96年以降に展開された様々な学部・学科の設置も社会的課題を踏まえた専門人材の育成ということなのですね

学長:96年の情報科学部はITの時代を迎えて技術者が不足しているというなかで、JABEE対応の情報科学としえは私学で最初にJABEEの認定を受けることを目指して立ち上げたものです。また03年に立ち上げた知的財産学部は、02年の知的財産基本法を受けて、学生はもとより現役の弁理士さんなど専門職の方も含めて国際的に日本の競争力を維持する為には専門的知識の早期習得が必要との観点から、専門職大学院を含めた3学部体制で進めています。学部長の石井教授は元特許次官であり、その他キャノンやPANASONICの知財本部長など知的財産の専門家が教授を務めています。
また、環境と資源を考えた21世紀の工学のあり方を示していくために、06年には工学部を改組して、生体医工学科・空間デザイン学科・環境工学科を新設しました。10年にはそれを更に進めて生命工学部とロボット工学科を新設しております。
環境との共生を考えた持続可能な工学技術を具現化していく為、また産学連携の舞台として広く活用していく為の施設も充実させています。「ナノ材料マイクロデバイス研究センター」や「八幡工学実験場」、「ものづくりセンター」、「医工学研究センター」など、企業の方々にも幅広く使って頂ける施設を有しています。
取材チーム:学校の設備を企業にも開放するという発想は、「レンタル・ラボ」のような枠組みを想定されているのですか
学長:レンタルという言葉は私あまり好きやない(笑)。うちは無償で使っていただいていいと思っています。それで共同研究になるんだったら勿論それはそれで良いのですが。レンタルって実質的に機能するのか、個人的には疑問です。そんなケチなことは言わずに世の中に還元します。色々当学でもお手伝いして、企業さんにも余力が出れば共同研究としてご出資頂ければ良いと。

川田学部長:例えば「八幡工学実験場」という本学の施設は、企業があれだけの大型設備を持とうとすると、大変な維持管理コストが必要になってきます。それを当学は開放していますので、非常に多くの企業さんから、協働という形で試験に来てもらっています。設備が埋まるくらいの実験の依頼があり、日夜企業さんの依頼に基づく実験を続けているわけです。
取材チーム:正にオープン・プラットフォーム的拡がりですね。参加される企業さんにとっては人材育成にもなるという面もありますね。
学長:生産性本部さんと一緒に企業の方々に「まなびなおし」教育もご提供していますし、小学生を対象にした「工作実験フェア」はもう募集の倍近くの応募があります。冒頭にも申し上げましたが、当学はうちの学生に限らず、社会に広く「専門的職業人」教育を提供していくことが社会的役割だと考えておりますし、それが建学以来変わらぬ理念なんです。
川田学部長:学生に対する機械工学科カリキュラムの例なのですが、年度毎のテーマだけを示して、6人程度のグループで設計~図面作成~購買~加工~試運転まで1年掛けてやるわけですね。これは正に企業の開発のプロセスと全く同じなのです。こういうプロセスを体感することによって、グループとしてどう決断しながら物を開発していくか、言い換えればマネジメント力を養っていっています。
取材チーム:今回対象としております中堅・中小企業さんの恒常的なお悩みとして、一定の専門的技術を持って且つプロジェクト・リーダーも務められる、いわば「ものづくりマネジメント人材」の育成はその筆頭に挙げられるものと言ってもいいと思います。言い換えれば、大阪工業大学さんが創立以来守り、またぶれることなく進化させ続けられている「専門的職業人」教育は、多くの中堅・中小企業さんが最も求められているものだと思います。

石井部長:しかしながら、それが本当に今回のコンベンションの内容に合致するのかどうか、考えるべき点は残ります・・・これまでの産学連携の推進状況を見ていきますと、企業のニーズは非常に具体的でありまして、産と学がお互いのことを具体的にご説明します。通常は大学側がシーズという形で非常に具体的な研究プロセスとか効果検証の結果などをご説明し、興味を持った企業が現れると初めてそこで連携がスタートすることとなります。つまり、どちらかが1回情報を出さないと始まらない。今回「教育」をテーマにする場合、それは非常に抽象的なものになってしまいかねないし、それで産に関わる企業さんの関係者の皆さんの関心を集めることが出来るのか、という疑問はでてきます。例えばある大学が燃料電池を共同研究のテーマとして取り上げて、「付随するテーマを全部どうですか」とおしゃっているときに、本学は産学連携の主テーマは「教育です」で本当に集まるのかな・・・と。したがって仮に「教育」を産学連携の中心テーマとする場合、具体的なプロジェクトを進める過程で、結果としてプロジェクト推進者の人材教育が達成できると仕組みを前面に出し、その点を理解していただいていくことが重要なのではないでしょうか。
取材チーム:ただ、15の大学さんが集まられるなかで、やはり各大学さんの数ある特色のなかから絞り込んで頂かないと、企業さんから見たときに非常にぼやけてしまうのかな・・・と考えています。
川田学部長:僅か15分程度のプレゼンテーションでこういう企業さんに集まってくれとは言えないですよね。かと言って多くの大学さんが集まられるということで、大学の「のど自慢大会」に終わってしまうということにもなりかねない。
取材チーム:今回の取組みは、各大学さんの特色を明確にさせて頂いたうえでその特色自体を事前に企業さんにご紹介し、集まって頂きます。一堂に会するというイメージでは無くて、例えば大阪工業大学さんが14時から14時20分までプレゼンテーションをされ、その後15時までブースにて商談会を催されると。それを15回実施するというイメージです。勿論具体的な製造プロセスの中の一部分を担われる企業さんをお呼びするということも可能ですが、ここまでのお話を伺うと、我々銀行がお客さまである中堅・中小企業のオーナーさんが恒常的にかかえてらっしゃる人材の問題を解決し得るソリューションのメニューを大阪工業大学さんは数多く取り揃えられており、いずれも非常にレベルの高いものだと実感しております。集客という観点でいきましても、今回の大阪工業大学さんの「社会人に対するものづくりマネジメント教育」は多くの企業さんの参加が見込めるものだと思います。また、それが東大阪をはじめとする大阪の中堅・中小企業さんの活性化に直接効果をもたらすものであるとも思っています。
ただ「大学さんが集まりますよ」と言って集まってもらうわけでも、順番にプレゼンをして頂いて選んで頂くというものでもないことをご理解下さい。大学さん毎に集まる企業さんが入れ替えになるようなイメージで考えています。
他に劣らぬ研究シーズを有する一方で、大阪工業大学はその研究の場自体を広く産業界に提供したい、またその場を活用して中小・中堅企業の多くが抱える「ものづくりマネジメント人材」の育成に役立てたいとの想いは、それが建学の精神として受け継がれてきたものとは言え、突出した「個性」であります。
今回は、数あるコンテンツの中からこの1点に絞ってご案内します。
・ 所謂「ミドル」層に対して、培った技術を活かしながらマネジメント力を身につけてほしいと願う企業
・ 新製品の開発や機能の実証等にかかる人的・経済的コストに悩む企業
大阪工業大学さんとの連携が近道です!
◆モノラボ
http://www.oit.ac.jp/japanese/monolab/
◆学長ステートメント
http://www.oit.ac.jp/japanese/oit/message.html